多崎つくる君

村上春樹の新作

色彩を持たない
多崎つくると、
彼の巡礼の年

を読んだ。

暗い喫茶店で、マンデリンを飲みながら、
授業が終わった後で、事務椅子に座って一息つきながら、
バスや電車に揺られながら、
どこでも読めたし、どこでも楽しく読めた。

村上春樹の物語は、20歳のころから、読んでいる。
同じ時代を生きることができて、本当に、良かったと思う。

村上春樹の物語を読むと、
いつもある風景が脳裏にうかぶ。

電車の線路のような、
平行な2本の道路がある。

2本の道路は、それぞれやっと歩ける程度の幅で、
自分はその右側の道路を、
道路を踏み出さないように気を付けながら、
わき目もふらず歩いている。

でも、感じている。
もう1本の道路を、すぐ横を、
今、誰かが歩いていることを。
息遣いが、伝わってくる。

それは、たぶん、
もう1人の自分。

多崎つくる君は、もう一人の自分。
この物語は、もう一人の僕の物語。

村上春樹の物語を読むと、
すぐ横を歩いている、
もう一人の自分のことだと思う。

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村上春樹の物語は、
世界中で、多くの人に読まれている。

そして、それを読む一人一人に、
きっと、「これは、私のことだ」と思わせている。

多くの人に語りながら、語られた私たちは、
私に向けて語られたという思いにさせる。

この物語を読めてよかった。

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