落ち葉の下はパラダイス
寒くなってきました。
夜、自転車で、林の中の道を帰宅するとき、
「この寒い中を、(動物が)よく生きているなあ」
と感心します。
野外で生きる動物にとって、
つらい時期です。
いま、授業で、土壌(どじょう)生物について、やっています。
落ち葉や土の中で生きる、
ダンゴムシやトビムシやヤスデのような生物を指します。
この土壌生物の単元は、
小学校の教科書にも、中学の教科書にも載っています。
でも、授業がやりにくいためか、
学校でも、塾でも、
授業で取り上げられることは、ほとんどありません。
入試にも出ない
ならば、いいのですが、
実は、けっこう、よく出ます。
昨年も、ある中学の入試問題で、こんな出題がありました。
森の落ち葉の下や土の中は、
いつも、暗くて、じめじめしています。
これは、動物が生きることで、
どのような点で都合がよいですか?
2点書きなさい。
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土の中で生きることの有利な点は、
次の2点です。
1.外敵に見つかりにくい。
2.環境の変化が小さい。
人に例えれば、
家の中に、ずっといるようなものです。
事実、授業で使う土を採りに山に行くと、
冬だというのに、
じめじめした腐葉土の下や、朽木の下から、
いろいろな虫が出てきます。
冷たい風が吹いている外では、
虫の姿はほとんど見ませんが、
土の中では、たくさんの虫が活動しているのです。
土の中の虫は、産卵数が少ないです。
なぜか?
これも、外敵に見つかりにくく、
また、環境の変化が小さいので卵からかえる確率が高いためです。
生まれた卵は、かなりの高確率で、
ふ化して、育ちます。
ただ、土の中は、暗くて狭くて、
オスとメスが出会う確率が低いです。
だとしたら、子孫が残せない・・・・
でも、大丈夫。
ここも、うまくカバーしています。
外の虫は、
たとえば、夏に成虫になって、
交尾して、産卵して死んでしまう。
のように、生活のサイクルが決まっています。
でも、土の中の虫は、
環境の変化が小さいため、
生活サイクルがあまり決まっていません。
つまり、オスとメスが出合えれば、
ほぼ一年中、交尾して、産卵できるのです。
出会いの少なさは、出会える期間を長くして、
対応しています。
そう考えると、「暗くて、じめじめ」という環境も、
生物が生きて、仲間をふやすという面では、
適した環境ともいえます。
授業では、山の土を机の前に出して、
いろいろな虫を探してもらっています。
最初、「え~!」
悲鳴があがります。
でも、自分で探して、つかまえるのは、楽しいです。
途中から、どんどん楽しくなってきます。
「もっと、土をちょうだい」
貝がいます。
カニのような姿をした小さな虫もいます。
ときどき飛び上がるトビムシという虫もいます。
土壌生物さがし。
一生で一回しか、体験できない子もいると思うので、
テスト対策も兼ねて、
授業に取り入れさせてもらっています。
(準備と後片付けが、とんでもなく大変です。)
オレンジ色の、かわいいイボトビムシがいましたので、
動画にしました。
http://youtu.be/8KxSOzoMIjM
読んでいただき、ありがとうございました。